手作りヘッドについて
  (2009年3月21日)

 

●ほしい顔のお人形がない!  
 2008年11月ごろから、こちら(千葉県八千代市)で、スーパースカルピーという粘土を使ったフィギュア作りを習いだしました。
 なぜ突然こんなことを始めたのかというと、ひとえに自分の好みの顔のお人形がない!ということです。
 女性人形はいろいろな顔、雰囲気、タイプのものが出ているので大きな不満はなかったのですが、なくて困ったのが男性人形。出回っている男性人形は、ほとんどが女性人形のボーイフレンド、パパなどのキャラクターですが、これが実に種類が少ないんですよね〜。特にそのとき筆者は、東洋人男性が非常にほしかったのですが、東洋人らしい東洋人の顔のものはなきに等しい。バービーちゃんのボーイフレンドのケン君も、白人、黒人などさまざまなタイプが発売されていますが、東洋人はいまだ登場していないようです。
 仕方がないのでそれではと、「着せ替え人形」ではなく、「フィギュア」に目を向けてみました。しかし、フィギュアの多くは、「ミリタリーフィギュア」「アクション・フィギュ
ア」で、軍人、警察官、刑事などのキャラクターです。東洋人のものは数は少ないけれど、あることはあるのですが、みんな顔が怖すぎ!(笑) 軍人などなので、どうしても険しい表情になってしまうのでしょう。筆者はもっと「ゆるい」顔立ちでいいのよ〜〜(笑)。
 あ〜あ、 もっと違う顔立ちのフィギュアがないかしら〜?っと思ってもありません。そんなとき、フィギュア作りのサイトをぼんやり検索していたら、家からそう遠くないところに、先ほどの教室を発見。検索しているときは自分で作るつもりはなく、どうやってみんな作っているのか知りたかっただけなのですが、家から遠くないので、とりあえず習ってみることにしました!

 
●使う粘土は「スーパースカルピー」  
 さて、そのフィギュア作りですが、ボディなどは市販品を利用することにし、筆者は顔作りだけを習うことにしました。
 そして使う粘土は、アメリカ製の「スーパースカルピー」にしました。多くのネットショッピングサイトで販売しています。
 この粘土の特徴は、とにかく、かたまりとかたまりの接合がわけもないこと! 紙粘土、樹脂粘土などだと、今あるかたまりに別のかたまりをくっつけようとしても、かたまり同士の一体化、接合部分の継ぎ目をなくすることが非常に困難ですが、この粘土はくっつけて、継ぎ目を指やへらでならしていくと、完全に一体化できるのです。
 そしてなんと、オーブントースターなどで熱を加えるまでは永遠に硬化しないんです! ですので、気に入る
まで何度でもやり直すことが可能。
 熱を加えると硬化するのは、中の水分が逃げてゆくことによるようです。
 スーパースカルピーについては、たくさんの利用者のサイトがあるようですので、そちらを参考にされてください。


これが「スーパースカルピー」。
 
教室で顔の各パーツを練習したもの。鼻、唇などは土台の粘土の上にかたまりを載せ、指やへらで一体化、形作っていきます。
 
教室で使っているへら。いちばん上は大きさ比較のためのボールペン。いちばん下のへらで一体化、形作りをやります。その上のは上唇と下唇の間を作ったりするのに使用。
 
顔を作っている途中です。
輪郭を作ったら、目になる部分をへこませ、次に鼻になるかたまりを接合、形作ります。そのあと、同じ要領で唇。そのあとが目、耳、髪の毛。

 

●難しいんです!  
 顔の作り方は、こちらでプロの方が材料、制作方法などを公開していますが、基本的にそこに載っている顔の作り方と同じです。
 しかし!!!! ちょっとやってみて、ちょっとやそっとでは出来ないということがすぐわかりました。
 へらをどう使うかなどの技術的なことより、まず自分は今まで、人間の顔の構造というものを全然知らなかったのだということがすぐわかりました。鼻の長さって、顔の長さのうちのどれぐらいとか、目は顔のどの位置についているとか、まるで知らないのです。
 教室で最初に先生に言われたのも、デッサンを同時に勉強するといいということでした。デッサンは石膏像の顔などをデッサンしていくので、そこで顔の構造を知ることができ、同時に観察力がつくということでしょう。
 また、最初に見せられたのも、美術書ではありますが、人間の骨や筋肉が載った、まるで医学書のような本でした。顔を作っていくには、人間の骨や筋肉がどうなっているのか知っておく必要があるということです。
 各パーツを作る練習をしたときも、そうか! 人間の目ってこうなってたのね〜などと、先生の話を聞きながら、いちいち納得です。
 そのうち、テレビを見たり電車に乗っているときも人の顔をよく観察するようになりました。この人の顔はほかの人とどこが違うか?とか、美人てどこが違うから美人なんだろう?とか、考えて見るようになったのです。
 で、第一作を作ることになったのですが、そこでも問題が発生!  当初は、自分が好きなタイプの男性の
顔を作ろうと思ったのですが、これが、初心者の自分には、まったく困難なんです。なぜかというと、みんな「金城武君みたいな顔が理想」とか「真田広之さんみたいな顔が好き」とか言いますが、この「みたいな」というのが曲者なんです。それじゃ、その「みたいな」顔って具体的にどんなのなの? ここに描いてみて!と言われたら、絵が描けるとか、イラストが描けるとか、美術関係の基礎がある人は別ですが、普通の人は描けないと思います。筆者も描けません。つまり、頭のなかにはぼんやりと理想があるけど、それを具体化することができないのです。
 それで、一作目は架空のキャラクターはやめ、実在の人物の顔(「刑事コロンボ」)にすることにしました。これだと、写真などを見ながら、ひたすら似るように作っていけばいいのです。一見こちらのほうが難しそうな気がしますが、今書いた理由で、初心者にはこちらのほうが易しいのです。
 しかしそれでも、先生に、この人のエラの位置はこことか、頬でいちばん高いところはこことか、要所要所はすべて教えていただきながら作りました。

 



自分で買った本。顔の構造を学びながら顔の描き方を学んでゆく。『やさしい顔と手の描き方』(マール社)。

 

●粘土を焼く方法 (2009年5月27日)
 「スーパースカルピー」を焼く方法はいろいろあるようですが、ここでは筆者が作っているヘッドを焼く方法を載せたいと思います。
 使っているのは、右写真のような「ホットエアガン HAG-1550」(リョーピ)。ヘアドライアーの強力なの、といった感じのもので、ホームセンターなどで売っている大工道具の一種です。筆者が買った値段は約7000円。
 この機種は、矢印のところがダイヤルになっていて、まわすと風量が調節できます。また、熱の温度は、強・弱の2種類。風の量を最少にし、熱は弱。この状態で、粘土から20pほど離し、一箇所約20秒当て、次々に当てる場所を変えていきます。それを10分間。10分たったら、粘土がいったん冷めるまで待ち、また、10分。さらにこれをもう1回。合計3回、30分当てています。
 1箇所に当てる時間が短いと粘土が熱せられず、当てすぎると焦げたりするそうです。

 

   
   
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