旅 雑記 1

ホーム

●旅行は体力と気力! (2003年9月下旬)  
 今年の2月に鉄道紀行作家の宮脇俊三さんが、76歳で亡くなられたのですが、最近、宮脇さんは晩年、体力の低下によって思うように旅行ができなくなったため、その精神状態の悪さをまぎらわすために、お酒に逃げていたということを知りました。
 宮脇さんほどの方が、そうした行為におよんでしまうというのは非常にショックでした。
 確かに、70歳を過ぎてからの宮脇さんの著作数は非常に落ちていたと思います。宮脇さんが直面されたのは、「旅行作家が旅行ができなくなったために、執筆ができない」という厳しい現実だったのですね。
 旅行というのは、本当に体力と気力が必要だと思います。
 昨年11月、アメリカのボストンに行ったのですが、ボストンは「ボストンお茶会事件」などで有名で、街に史跡の多い観光都市なのに、日本からは直行便がなく、それでやむなく、デトロイトというところで乗り換えをして行ったのですが、成田―デトロイトが、北極圏やカナダの上を通って約12時間、デトロイトからボストンまでが2時間ぐらい、乗り換え時間を入れると15時間以上かかりました。狭いエコノミー席で身動きができず、
これだけ長時間飛行機に乗ると、ついた時点でもうグデグデ。リラックスや遊びが目的で行ったのに、なんで自分はこんなに疲れなくちゃならないの?と嫌になりました。
 同じぐらいのトシの友人たちに聞いても、やはり同じようなことを言っています。1歳年上で、やはりボストンに行ったことがある男性の友人も、日本からのしんどさを思うと、「二度と行きたくない!」と言っていました。
 また、その土地の気候なども大きく影響していて、連日38℃ぐらいのシンガポールは、筆者も友人もやはり「二度と行きたくない!」。あまりの暑さのために、自由に動きまわることができないし、頭がボーっとしていたのか、見たところの記憶がハッキリしません(笑)。 
 アフリカは20代でないときつい、という話もよく聞きました。
 ヨーロッパは先進国であるだけに、その土地での旅行はしやすいと言います。それでいつでも行けるだろうと思ってまだ行っていないのですが、日本からの移動を考えると、なるべく早く行ったほうがいいのかも?(笑)
 そんなことを思っています。

 
●海外旅行、嗚呼 (2003年8月上旬)  
 今年は、海外旅行の好きな筆者にとってはまさに受難の年です。
 ひとつは言うまでもなく、SARSの発生。
 15年前ぐらいからファンをやっている香港の或るロック・バンドが、今年の5月、結成20周年の記念コンサートを開いたのですが、当然のことながら行くのは見送りました。
 身体は基本的に丈夫で、もし感染したとしても、死ぬとは思わないのですが、自分一人で生きているわけではなく、感染したときの家族や近所への影響を考えると、香港行きは断念せざるを得ませんでした。
 もうひとつはアメリカの政情、治安が今ひとつ不安なこと。
 同じ5月、昨年の旅行のさい訪れたエール大学で爆発物が爆発したのです。
 コネチカット州ニュー・ヘブンにあるエール大学は、ハーバード大学と並ぶ、レベルの高い大学で、日本ではその程度しか知られていませんが、中国語を学習する人間にとっては有名。中国語の一方言に広東語と呼ばれるものがあります。中国語は、日本語のようなひらがな、カタカナがないため、外国人学習者は、ローマ字による発音記号を使って学習するですが、広東語の発音表記はエール大学方式と呼ばれるものが最も知られていま
す。それで、昨年の旅行のさい、エール大学ってどんなところかひと目見たくなり、友人に車で連れて行ってもらいました。
 爆発物が爆発のニュースを見てビックリ! 昨年歩いた道に多くのパトカーが停まり、警官がたくさんいるではありませんか! なんかこういうのを見てしまうと、本当に恐怖心が先に立ちます。
 世界貿易センターのテロも、発生は朝の9時ごろで、観光客である自分が、そんなに早い時間、あの場所を訪れることはないのですが、もっと時間が遅ければ、そして日にちが違えば、自分が巻き込まれていた可能性は充分あるのですね。
 飛行機に乗るのも気がすすみません。筆者は飛行機というのを信用していないので(笑)、海外へ行くときはやむを得ないとしても、国内ではまず絶対乗ることはありません。それほど嫌いなのです。
 でも、旅行はやっぱり好きだし、アメリカはまた行ってみたい。
 気のすすまないのと、行きたいのを天秤にかけ、どうしようかと悩んでいます。
 

 
個人旅行で童心に!
 筆者は20代半ば2年間、中国・北京で、中国語の勉強のため生活していました。当時の北京は、娯楽らしい娯楽はゼロ。街に喫茶店は1軒もなく、帰国間際になって、奇跡的に外資系のホテルの中にディスコが1軒できたんです。んなんで、長い夏休み、やることといったら旅行しかありません! そのとき初めて、個人旅行とか貧乏旅行というものをしました。
 個人旅行って、最初は大変そうなんですけど、やってみると、これが楽しいんです。それは
単純な喜びと達成感があること。子供のときって、おもちゃやお菓子を買ってもらうと、本当に嬉しかった。単純なことなのに、すごく大きな喜びがあったんです。でも大人になると、昇進はたいへん、家を買うのもたいへん。なにもかもたいへんで、自分の望みがかなうことなんて本当に少し。心から楽しいってこと、ほとんどないんですよね。筆者は子供がいないから、子供の成長を見るという楽しみもありません。それが個人旅行に行くと、自分でバスに乗って目的の観光地に着けた
り、食べたいものが買えただけで、もう大喜び! 童心のときの喜びが返ってくるんです。すごく単純なことに達成感がある。そのことに気づいてから、個人旅行がやめられなくなりました。
 ところがです。30代の後半から、体力の低下を感じるようになりました(笑)。香港、シンガポール、マレーシア、台湾、インドネシアとまわり、筆者の場合、暑いところがダメってことに気づいたんです。「もうダメだ。熱帯はやめよう」〈笑)。それで、急遽、好きだった東南アジアはやめて、涼しい北米へ行くことにしました(笑)。
 でもですね、きっとこれ、暑いところに弱いと「気づいた」んじゃなくて、自分の身体の適応力や忍耐力が落ちてるんだと思うんです。30代の前半までは、寒くても暑くても、食べ物がまずくても気にならなかったですから。
 というわけで、もう熱帯に個人旅行する元気はありません〈笑)。でも、自分(たち)の力でまわる個人旅行はやっぱり楽しいです。 
   
   
   
   
   
   
inserted by FC2 system