●実験作1
「フィモ プッペン」と「リキテックス」使用
(2009年5月5日)

 

●「オーブンクレイ フィモ フィモ プッペン」  
 さてさて、なんとか「トリッシュ・ストラタスさん」を完成させたのですが、非常に気になったのが、肌の質感です。出来上がったものを、部屋のなかに置く置き物の一種と考えれば、なんとか見られないこともないのですが、着せ替え人形のヘッドとして見たら、気味悪くて(笑)、とても見られたものじゃありません! コロンボさんは男性なので、肌の質感はそれほど違和感はなかったのですが、やはり女性人形だと、非常に気になります。
 そこでなんとか、別の塗装方法、製品がないかと検索していたとき、偶然行き当たったのが、「スーパースカルピー」と同じように、オーブンなどで焼いて完成させるドイツ製の粘土「オーブンクレイ フィモ フィモ プッペン」です。
 日本では情報が非常に少ないのですが、
ヨーロッパなどでは人形作りに用いられているよう。色も「スーパースカルピー」に較べ、ぐっと薄いようで、商品の写真を見てみると、塗装せずに、焼き上がりをそのまま肌として生かしているように見えました。「スーパースカルピー」は色が薄茶色で、その色を生かし、塗装し
「フィモ プッペン」。
ドイツのエバーハード・ファーバーEBERHARD FABER社製。色は、日本では3色売られているようで、これは、いちばん色が濃そうな!「ナチュラル」。「フィモ プッペン」は「ドール フィモ」などの名前でも販売されているよう。こちらなどで扱っている。
ない作品を作っている方もいるようですが、女性人形に使うには色が濃すぎ。この「フィモ プッペン」なら、肌を塗装しないで行けるのかも!?と思いました。肌を塗装しないですむのなら、既製品のソフトビニールのヘッドと同じように、目や唇だけを描き加えればいいのです。
 しかし、気になったのが、この粘土に関し検索してみても、日本では本当に情報が少なく、しかも、その数少ない検索結果のなかに、「気泡が出て使いものにならない!」というのがあったのです。
 そこで、運よく、地元の「ユザワヤ」で手に入ったので、さっそく試してみました!

・とにかく硬い!
 まずさわってみて、その硬さにビックリ! こねようとしても、ボロボロ崩れてしまって、まとめるだけでも一苦労! こね始めても、えらい硬く、これを続けたら間違いなく腱鞘炎になる!!!と本気で思いました(笑)! 要注意!!! なんとか1時間!近く頑張り、
なんとか造形できるぐらいにはなったのですが、硬いものだから、今のかたまりに別のかたまりをくっつける同化がえらい大変なのです!!! くっつけられないと造形はできないので、無理にヘラでガシガシとくっつけていきました。粉や小さな破片が落ちたりしましたが、気にしていたら同化は永遠に無理と思われたので気にせずやりました。そのうちだんだんわかってきたのですが、時間はかかりますが、同化は必ずします! やはり無理やりヘラでくっつけてしまうのがいいよう。そして、30分後、1時間後、あるいは次の日!などに、継ぎ目をさらにならしていくのがいいようです。
 それなので、制作に時間がかかります。
 あと、筆者は買った時点で知らなかったのですが、粘土を柔らかくする柔軟剤があるそう。次はそれを買って試してみようと思っています。
 しかし、同化は大変ですが、造形には、筆者はこの硬さは気に入りました。「スーパースカルピー」は、筆者のような未熟者には柔らかすぎて、ちょっとヘラに力を入れただけで、傷をつけたりへこんだりしていたのですが、この粘土だとそれがありません。下唇の丸みなども全然作りやすかったです!


色の違い。右が「スーパースカルピー。
・やはり気泡は出た!  
 実験作なので、造形は適当にやり、さっそく教室で焼いてみました。すると、「スーパースカルピー」と同じように焼いたにもかかわらず、やはり気泡は出ました!!! 「スーパースカルピー」でもたまに出ることはあるのですが、それは非常に少ないし、気泡自体も小さい。それが、単純に数で言うと6〜7倍ぐらい、また気泡も大きかったです。教室の先生は、「やはりボソボソしていているので、作るときに空気がなかに入っているのでしょう」と言っていました。
 しかし、気泡が出たのは、頭やおでこなどで、作り込んでいる目や鼻などには出ませんでした。こうしたパーツは何度もヘラを当てるので、空気が逃げているのではないかと思います。
 また、「スーパースカルピー」でも出るのですが、うろこのような模様も出ました。「スーパースカルピー」だと色が薄茶色のためあまり気になりませんが、この粘土は色が薄いので、かなり気になります。
 ただ、焦げ目はほんの少し、目立たないものが耳に出ただけでした。
 柔軟剤を混ぜるとこうした気泡やうろこ模様がどうなるかが、次の実験課題です。


おでこのうえに出た気泡。
全体にうろこ模様も相当出ました。デコボコはしていません。

 

・粘土の色が…  
 さて、なんとか焼き上がりましたが、問題は色です! 右の写真、気味悪くてすみません! 焼き上がりを「イブちゃん」のボディに指したものですが、とにかく白すぎ!!! この粘土、こねてるうちに、こねないときより白くなり、焼きあがるとさらに白くなるという感じです。
 うろこ模様も気になるし、要するにこのままのものを肌として使うには全然ダメ〜〜!!!(笑) トホホ〜!
 なお、焼きあがった質感は、筆者には「スーパースカルピー」と色が違うだけで、その他の違いはわかりませんでした。
   
●アクリル絵の具「リキテックス  
 というわけで、焼きあがったものをそのまま肌として生かすことができないので、やはり塗装する羽目に…。
 それで、今回は、アクリル絵の具「リキテックス」を初めて使って見ることにしました。「リキテックス」は非常に有名なので、ここでは詳細は省きますが、実はこの絵の具、筆者の住む県庁所在地!がえらい田舎町で地元に売っていないため今まで持っていなかったのです。それで、ユザワヤにわざわざ行って「スクールカラー 伝統色12色」というセットを買いました。
 本当は、粘土の質感を生かしたいので、透明色を使ってみたかったのですが、そうすると、うろこ模様も見えてしまいますので、結局、12色に入っていた、白(不透明)、赤(透明)、黄(透明)を混ぜて肌色を作り、粘土にそのまま塗りました。
 造形がいい加減だったので、肌はデコボコですが、質感としてはまあまあ。筆者の目指すものにあと一歩ならぬ三歩という感じ。
 しかし、仕上がりの質感についてよく考えて見ると、「スーパースカルピー」でも、下地剤の「ジェッソ」(ホルべイン工業)を塗らなければ、同じような仕上がりになったのではないかと思いますし(絶苦笑)、「リキテックス」といつも使っているラッカーの「Mr.カラー(ミスター・カラー)」(GSIクレオス)との違いも筆者にはわかりませんでした!(笑)。

次の実験課題
・「フィモ プッペン」には、「フィモソフト」などを混ぜて使えるそうなので、ほしい肌色に混ぜてみて、焼き上がったものが肌としてそのまま使えないか試す
・「フィモ プッペン」に柔軟剤を混ぜて、気泡が出ないようにできないか試す。「フィモソフト」は非常に柔らかいらしいので、柔軟剤は要らないのかも?

 
目の下の頬のデコボコは、教室で焼くまでに同化が間に合わなかったためです。

 

   
   
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