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●DVD鑑賞
WWF In Your House16(1997年7月6日、カナダ・カルガリー)
ザ・グレート・サスケVsTAKAみちのく
(2010年5月中旬)
 えらい昔の試合で恐縮です。実はこの試合、ず〜っと前から見たいと思っていたのですが、タイミングが悪いらしく、ネットのオークションなどで探しても、いつもそのたびに見つからない。今回やっと、海外のオークションでオーストラリアの出品者から手に入れました。
 いまさら説明するまでもないのですが、この試合がサスケさんにとってもTAKAさんにとっても、WWF初登場! それもPPVと言われている、月に1回やる大きな大会でのデビューです。
 しかし、WWFというのは大胆なことをやるもんだと思いました。通常の大会ならともかく、いきなりPPVでデビューです! 当時は携帯電話はもちろん、パソコンも完全には普及していないでしょうから、おそらく、お客さんにとっては、どんな選手なのか、まったくもって未知の存在だったと思います。しかも、当時のWWFは重量級の選手ばかりで対戦する適当な相手がいなかったからといって、日本人同士の対戦です。これが、(日本人から見た)外国人Vs日本人ならまだしも、日本人同士じゃぁ…。この試合はDVDでは、全5試合のうち、第3試合。なんか完全にお客さんの「トイレタイム」(笑)になりそうです。しかも、2人がすでにリングインして、これからリングアナがコールするばかりとなったとき、なんと、トリプルHとマンカインド(ミック・フォーリー)が大場外乱闘を始めるじゃぁありませんか! これでお客さんの関心は一時完全に場外に!!!
 これって今で言う、完全な「アウェイ」ですよね〜(笑)。
 日本版のDVDじゃありませんから、もちろん日本語字幕は無く(笑)、解説も当然、なにを言っているのかまったくわかりません。始まってまもなく、お客さんの声が聞こえるのですが、ブーイングなんだか歓声なんだかも不明。
 しかし、そのうち、お客さんが湧いてきました! それはほかならぬ、TAKAさんが攻めているとき! お客さんは明らかにTAKAさんに声援を送っています!!!
 試合は約10分。サスケさんが勝ちましたが、お客さんのハートをつかんだのはTAKAさんだったと言えると思います。
 それがなぜか考えたのですが、まず、2人の衣装(笑)。DVDで見た場合ですが、背景である観客席は照明を落とすので、暗い。そこに2人が立つと、黒づくめのサスケさんは沈んでしまい、マスクをかぶっているから表情もわかりません。それに対し、上半身裸で、色白で目鼻立ちのハッキリしたTAKAさんは、体格も表情もハッキリとわかるのです。マスクマンの多いメキシコだったら違っていたのでしょうが、カナダでは、この差がものすごく大きいと思いました。アメリカでもきっと同様でしょう。
 そして、サスケさんはもしかしてものすごく緊張していたのかもしれませんが、お客さんに対するアピールが完全にゼロ。まるで、あんたらの応援なんかいらない、というようにお客さんに背を向けます。要するに可愛げがまるで無いんですね〜。一方のTAKAさんはお客さんに向かって、表情豊かに喜んだり嘆いたり。これで、完全にお客さんはTAKAさんを応援することになります。
 また、筆者は技のうまさとか、試合運びとかはまるでわかりませんが、サスケさんはボクシングの構えのように、常にやや猫背気味の姿勢をとって、そこからキックや関節技にいくので、非常に単調。TAKAさんのほうは動き回り、技も動きもバラエティに富み、ハッキリわかりやすい!
 試合を見終わったお客さんはおそらくこんなふうに思ったのではないかと思いました。「黒づくめのほうはどうやら若い方より年上で、強いらしい。でも、全然得体がしれない。若い方は負けたけど、ちっこくて可愛いいし、生きがいい!!!」。お2人が、あるいはどちらかが意図していたのかそうでないのかはわかりませんが、初めての登場であっても、要するに、サスケさんがヒール(悪役)で、TAKAさんが善役になってしまっているのです。
 これを見て、フナキさんが以前おっしゃっていた言葉を思い出しました。「上からは、リングの上でストーリを作れって言われるけど、それはすごい難しいこと」。この言葉とは少し意味が違うとは思うのですが、お2人の試合は、上で書いたように、初めてのお客さんの前でも、キャラクターづけやストーリーがちゃんとできていた!と思いました。これってやっぱりすごいことですよね!

 

   
   
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